発   生   工   学   研   究   室

NATIONAL INSTITUTE OF GENETICS
Mammalian Development Laboratory

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RESEARCH

研究内容

  1. 発生工学的手法の改革と開発
  2. 体節形成に関する研究
  3. 生殖細胞の発生機構
  4. 心臓の形成機構

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1.発生工学的手法の改革と開発

発生工学とは

主に、胚に遺伝子操作を加えて遺伝子の変異を伴った個体の作出により、いろいろな現象を解明していこうという方法である。我々は特にマウスを用いた発生工学的手法をとりいれた研究を行っている。

トランスジェニックマウス

マウスの受精卵の前核に直接遺伝子を導入して作成する。本研究室では、遺伝子の過剰発現や、異所的発現を起こすことにより個体レベルでの遺伝子機能を解析している。また、レポーター遺伝子(lacZ、GFP)を利用して、発生過程における組織特異的、時期特異的な転写調節領域(シスエレメント)の同定を行っている。
 最近、本研究室ではBACトランスジェニックマウス法を立ち上げている。BAC(大腸菌人工染色体)とは、100kb~300kbからなる長い遺伝子をクローニングできるベクターである。大腸菌での相同組換技術(図1)によって容易にレポーター遺伝子を任意に導入できるのが特徴で、このBACを受精卵に導入することによりBACトランスジェニックマウスを作成することができる。この方法によって、従来では困難であった染色体レベルでの転写調節機構が解析できることを期待している。また、BACトランスジェニックマウス法は応用性が非常に高く、現在まったく新しい解析手段の開発を考えている。



ノックアウトマウスの作出

これはある特定の遺伝子をねらって破壊する方法で、この技術の確立により、作為的に突然変異体を作成することが可能になった。この技術は2つの革命的な技術に依存している。

  1. 胚性幹細胞( ES 細胞)の確立:マウスのブラストシスト(約 3 日胚)から確立された細胞で、ほぼ永久的に培養が可能であり、マウスの胚に戻すと個体を形成するほぼすべての細胞に分化する能力をもつ。生殖細胞にも分化することができるため、ES 細胞由来のマウス個体を作出することが可能である。したがって、ES 細胞を遺伝的に操作することにより、いろいろなマウスを作成することが容易になった。実際の方法は図 2, 3 参照。

    ES 細胞はブラストシストの内部細胞塊を取り出して培養する事により確立された。培養の際には細胞の分化を抑制するため LIF をくわえる。培養した細胞に遺伝子を導入する方法としてはエレクトロポレーション法が一般的である。



    ES細胞からマウスを作成する方法には大きく分けて二つの方法がある。これまで多くのラボで用いられている方法はインジェクション法で、これはマウスのブラストシストに ES 細胞を入れて内部細胞塊と一緒に発生させる方法である。この方法は高価なインジェクションシステムと高度な技術を必要とする。最近この方法に変わって注目されているのが細胞凝集法である。これはマウス 2 日胚( 8 細胞)の透明帯を取り除き ES 細胞と一緒に培養し凝集塊を作らせる。この凝集塊を一日培養すると一個のブラストシストになり、これを仮親の子宮に移植し発生させる。我々の研究室では主にこの方法でキメラマウスを得ている。
  2. 相同組換法の確立:これは酵母などでは一般的に知られていた現象だが、ES 細胞の状態で細胞に遺伝子を導入し、かつ目的とする細胞を選択することができる利点を利用して可能になった。すなわち、ある遺伝子と相同領域を持つ塩基配列を利用して相同組み換えを誘導することにより狙った特定の遺伝子の破壊が可能である。

ノックインマウスの作出

これは基本的にはノックアウトマウスの作成と全く同じ原理を利用する。遺伝子を破壊するかわりに別の遺伝子を任意に導入することが可能である。たとえば遺伝子の発現をモニターするために LacZ 遺伝子や GFP を導入することができる。また遺伝子に変異を導入して入れ替えることも可能である。

 

これらの方法を用いて、多くの疾患モデルマウスが作出されている。






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