発生工学とは
主に、胚に遺伝子操作を加えて遺伝子の変異を伴った個体の作出により、いろいろな現象を解明していこうという方法である。我々は特にマウスを用いた発生工学的手法をとりいれた研究を行っている。 |
トランスジェニックマウス
マウスの受精卵の前核に直接遺伝子を導入して作成する。本研究室では、遺伝子の過剰発現や、異所的発現を起こすことにより個体レベルでの遺伝子機能を解析している。また、レポーター遺伝子(lacZ、GFP)を利用して、発生過程における組織特異的、時期特異的な転写調節領域(シスエレメント)の同定を行っている。 |
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ノックアウトマウスの作出
これはある特定の遺伝子をねらって破壊する方法で、この技術の確立により、作為的に突然変異体を作成することが可能になった。この技術は2つの革命的な技術に依存している。 |
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ES 細胞はブラストシストの内部細胞塊を取り出して培養する事により確立された。培養の際には細胞の分化を抑制するため LIF をくわえる。培養した細胞に遺伝子を導入する方法としてはエレクトロポレーション法が一般的である。 |
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ES細胞からマウスを作成する方法には大きく分けて二つの方法がある。これまで多くのラボで用いられている方法はインジェクション法で、これはマウスのブラストシストに ES 細胞を入れて内部細胞塊と一緒に発生させる方法である。この方法は高価なインジェクションシステムと高度な技術を必要とする。最近この方法に変わって注目されているのが細胞凝集法である。これはマウス 2 日胚( 8 細胞)の透明帯を取り除き ES 細胞と一緒に培養し凝集塊を作らせる。この凝集塊を一日培養すると一個のブラストシストになり、これを仮親の子宮に移植し発生させる。我々の研究室では主にこの方法でキメラマウスを得ている。 |
ノックインマウスの作出
これは基本的にはノックアウトマウスの作成と全く同じ原理を利用する。遺伝子を破壊するかわりに別の遺伝子を任意に導入することが可能である。たとえば遺伝子の発現をモニターするために LacZ 遺伝子や GFP を導入することができる。また遺伝子に変異を導入して入れ替えることも可能である。
これらの方法を用いて、多くの疾患モデルマウスが作出されている。 |